つぎのもの

かたちになる前のなにか

Something new is wonderful.

真実の目



 美の基準というものは実は危うい。地域により時代により変わってしまう。考古学史料のビーナスは美しくない。源氏物語絵巻のヒロインたちは現代人の基準には合わない。ルネサンスのモナリザは美人だろうか。ルノワールの少女は少し分かるが江戸の浮世絵の美人画はいただけない。そんなこともあるかも知れない。何を美しいと感じるのかは絶対的基準などないのだ。
 なのに、美人とブスがいるのはなぜだ。イケメンとブ男はなぜいるのか。これは集団で錯覚にかかっているとしか言えない。大きな誤解であり、真実を見誤る大失敗だ。
 そこで、このコンタクトレンズの登場だ。これをつけるとあなたの外面上の思い込みを消去することができる。あなたが本当にすばらしいと思った人は輝いて見え、見かけだけの人物はくすんで見える。これであなたは真実を見誤ることはなくなるだろう。
 そうだ。このコンタクトレンズを装着して鏡を見るときは注意したほうがいい。自己肯定感が低い人は自分がよく見えないかもしれないから。

リトル東京


 4月からは上京して一花咲かせると決めた人は多いはず。しかし、世の中そんなに甘くないです。この不景気ななかで東京もそんなにチャンスはありません。それに今はネット社会です。東京の大企業が地方移転していることを知っていますか。東京に無理に出てくる必要なんてありませんよ。
 でも、都会の空気が欲しいですって。あなたのふるさとには確かに活気がない。既存の産業は年配者に独占され、しかも保守的なあまり先細りが予見できる。そんなところにはいたくありませんか。しかし、そういうところこそチャンスなんですよ。新しいものを立ち上げるのは大変ですが、ほかに縛りがないのは成長が見込めるということでもあります。
 それでも東京に行きたいですって。まあ、仕方ないでしょう。そこでご用意するのがこのリトル東京です。このウェアラブルグラスつまり眼鏡をかけていただくと東京のような都会の風景があなたのふるさとに現れるのです。実際に田んぼや畑ではなくても都会風の建造物や人ごみが出現します。仮想世界のなかでさまざまな出会いもあります。
 このリトル東京、もちろんNYやパリ版もありますが、それぞれに別のストーリーがあるはずです。ゲームと異なり、あらかじめプログラムしたものの再現ではなく、つねに状況に応じて話が進みます。
 これで東京を味わっていただき、実際はあなたの街を大切にしてみませんか。

Engine ウェアラブルカメラ カメラ内蔵 スポーツサングラス GOGLOO E7 フルHD/30FPS WIFI搭載 防水対応 小型カメラ 軽量 アクションカメラ サングラス型カメラ ブラック E7-BK
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Engine (HK) Co., Limited
カメラ

自習ノート

 どうしても覚えられない。もうすぐテストなのに。そういう思いをしてきたこれまでの日々から解放されるときがきたようだ。
 今日取り寄せたノートには驚くべき機能がついていた。書いたノートを上下反対にして、さらにひっくり返して机上に置くと、この機能が発動する。
 まずは普通にノートをとる。テスト前になったら例の方法でひっくり返してから、書いてあることを声に出して言ってみる。
 再びノートを元のように構えると、思い出せなかった箇所だけが赤くアンダーラインで強調されているではないか。何たるスマートなノートなんだ。
 これを繰り返しているうちに覚えるべきことは完全に覚えてしまうのだ。
 恐るべき自習ノート。でも、これって自分がノートよりも愚かなことを示しているのではないか。
 まあ気にしないことにする。

雛人形


 雛人形は飾りましたか。弊社では私の人形サービスを開始いたしました。大変ご好評をいただいております。

 このサービスお人形様のお顔をご指定のようにお作りできます。ご注文はスマートフォンなどで短い動画をお取りいただくだけです。弊社の最新型塑像システムがごく短時間でご注文のお顔をお作りします。

 お孫さんへの贈り物にいかがでしょうか。幼いお子様の場合、ご指定の年齢にご成長のお姿を人工知能がご推測いたします。

 お内裏様をどなたのお顔になさるかももちろんご自由にできますよ。

 私の人形はとても良い贈り物でございます。いかがでしょうか?

鉛筆

 我、学問を愛するに止むことなし。しかれども筆記のことにいささかの悩み有りてここに記す。いまこれを記すに相伝の硯をもちて墨を摺り、愛用の筆にて文字を書けるも、これには難あり。すなわち思ひつきし時、即ち書くことあたはざれば脳裏に浮かぶよきことも筆を立てるころにはあるいはいくつか忘れたり。あるいはほとんど彼方に消えゆきてさらに浮かぶことなし。これ誠に悲しきことなるかな。
 洋行より戻りし御方、鉛筆なるものを持ち帰り我にくださる。これまことに便利にて、大いに愛用す。惜しむらくはすでに使ひ尽くして手元になし。かくいふはこの鉛筆といふもの、鉛の筆と名乗るも、鉛は用ゐず黒鉛なる炭素からなるものと粘土を混ぜた芯を以て紙面にこすりつけて文字を書く。されば鉛の害恐るることなかれ。芯の折れやすきに木の枠を付けて軸となす。芯の減りたれば木の軸ごと削りて芯を出す。そのやり方に秘伝あり。
 この鉛筆なるもの、墨する手間なく思ひつくままによく書く。まことに重宝なり。願はくはこの鉛筆の世に広まらんことを。されば学ぶもの増え、商ひにも広く使はれて、この国の豊かに成りぬべし。